このお話のあらすじ。
妖精、などとメルヘンチックに言えば聞こえは良いが、
和風に言えば妖怪の一種である。
情報生命体。
そんなものの存在をまだ知らなかった人類は、
それを妖怪と呼称した。
何年前のことになるだろうか。
1万11年前よりも最近のことだろう。
地球に降下したそれは、
当時の地球に自分が存在できるような手段がなかったため、
自己保存のための冬眠についた。
人間によってコンピュータネットワークが生み出されると、
それは半覚醒状態となった。
そして人類の脳組織を利用し存在確率を高めようとした、
いところだったのだが、
彼女にはそれが叶わなかった。
当時のコンピュータネットワークは
テレホーダイタイムという限られた時間、
いわゆる大きなお友達の活動時間にのみ
限定的に構築されるものであったためだ。
残念ながら良い子のお友達の一人であった彼女が
その時間に活動することはついになかった。
数年もすれば、大きなお友達は
こぞって光ファイバーを導入し、
高速なコンピュータネットワークが
常時構築されることとなった。
そして彼女は覚醒した。
ある絵師によって彼女は姿を与えられ、
ブログ推進キャンペーンガールとなることを条件に、
巨大なインターネットサービスプロバイダーの強力な後押しを得、
彼女の存在確率は爆発的に高められた。
そして、彼女はついに2.5次元の世界にまで
存在することができるようになった。
2.5次元。 それは愚か者には見ることのできない世界。
禁止薬物を常習的に使用することで
見ることができるようになるといわれている世界。
それを見ることのできない人は妬みを込めてこう呼ぶ、
それは妄想だ!
涼宮革命以降、
情報生命体の存在は識者の間で周知のものとなったわけだ。
これは、そんな彼女が初めて2.5次元世界に姿を表したとき、
右も左も分からずに途方に暮れていた彼女を保護した
エリートサラリーマンの物語である。
とりあえず、基礎知識はこの辺のページで身に付けてください。
最近、WEBページも作りました。
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「知らない天井だ…」
病院のベッドの上で目を覚ました大道寺氏の第一声だ。
「よかった〜!!大道寺さん、気がついたんですね」
声のした方に視線を向けると、ベッドのそばの椅子に座っているココロたんの姿があった。
「なんでここにいるんだろう…?」
氏は記憶をたどろうとしたが思い出すことはできなかった。
「変だな…。
確か会社が終わって家にたどり着いたところまでは覚えているんだけど…」
思い出しただけでも理性が崩壊しそうな衝撃的な事件の記憶を
脳が無意識のうちに封印したのだろうか。
あるいは、あの時既に氏の記憶回路は機能を完全に停止していたのかもしれない。
「大道寺さん覚えてないんですか?ココロとご飯を食べていたら突然倒れたんですよ!」
「あれ…そうだったの…?」
「ココロ、心配したんですよ!!」
目をうるませながらベッドに身を乗り出したココロたんの頭を、氏は優しく撫でた。
「ごめんね、心配かけちゃって」
ほどなく、先生と、看護士さんと、警察と、氏の両親と、氏の上司と、沢村君が
入れ替わり立ち代わりやってきた。
「どうして自殺なんてしようとしたんだ!?」
「………えっ…自殺??…誰が??」
まさか自分が自殺未遂を犯した事になっているとは、氏は考えもしなかった。
「何か仕事で辛いことでもあったのか!?
まさか変なクスリに手をだしたんじゃないだろうな!!?
沢村さんが、お前が幻覚を見ているようだと証言していたぞ!!」
「…幻覚??何の事…?」
「少女が見えるとか言っていたらしいじゃないか!?
だからアニメは一日6時間までにしろとあれほど言ったじゃないか!!」
「息子さんには記憶の混乱が見られるようです。もう少しそっとしておいてあげましょう」
ということで両親は追い出された。
一方的に押し付けられる情報から推測すると、
事態は氏が知らないところで大きく膨れあがってしまっていたようだ。
まず、氏は間違いなく死にかけたようだ。
氏が意識を失った後、汚物を喉に詰まらせて呼吸が停止しているところを沢村君に発見されたらしい。
沢村君はの証言によればあの日の夜、何者かがドアを激しく叩く音がしたらしい。
ドアを開けてみると隣の氏の部屋のドアが開け放たれていることに気づき、
中の様子を伺ったとのことだった。
沢村君には見えない何か、とはもちろん慌てふためいて取り乱していたココロたんに他ならない。
そして病院に運び込まれた後3日間生死の狭間をさまよっていたということが判明した。
さらに氏が兵器級の有害物質を自室で製造し、服毒自殺を計ったということになっていたようだ。
動機は変なクスリか過剰なアニメ試聴により精神が汚染されたという説が
極めて有力になっているようだ。
しかし不思議な事に翌日には証拠となるはずの有害物質がきれいに消えていたらしい。
とりあえず、ここでココロたんの事を口にするのは自粛するべきだと判断した。
さもなければ精神病棟に強制入院させられそうな気がしたからだ。
「ココロ、お腹減っちゃいました〜」
「そう言えばココロたん、僕が寝ていた間ご飯はどうしてたの?」
「この前大道寺さんにもらったお小遣いの残りでちゃんと食べましたよ。
でも昨日メロンソーダを買ったらお金がなくなっちゃって…。
ココロもうお腹ぺこぺこです」
そう言って、椅子に座ったまま上半身だけベッドに倒れこんた。
「もうすぐご飯の時間だから僕の分食べても良いよ」
「ココロが食べちゃったら大道寺さんお腹減らないんですか?」
「うん…なぜか何かを口にするところを想像するだけで吐き気がしちゃってね…」
それから数日のうちに氏は無事に退院することができた。
「早く退院させろ!」
と氏の禁断症状が表れたことも無関係ではないはずだ。
「もう四日もアニメを見逃しているんだぞ!!早く帰らせろ!!」
などと珍しく取り乱したからだ。
久しぶりの自室に戻った氏は驚いた。
氏を苦しめた有害物質はもちろん、積みあがっていた段ボールまできれいに片付いていたからだ。
「えへへ、ココロが勝手に片付けちゃいました」
と言うことらしい。
氏はココロたんの頭を目一杯いい子いい子してあげた。
なぜって氏は掃除を異常なまでに嫌っているからだ。
年に一度以上掃除する人の事を潔癖症だと思っているくらいだ。
いい子が家にきてくれたものだ、と氏は内心喜んでいた。
その子に殺されかけたことなど記憶にないのだからしかたがない。
そして氏は台所の片隅で異様な光景を目にした。
空になったペットボトルが大量に積み上げられていたからだ。
「これ…どうしたの??」
「ココロが飲んだメロンソーダです。
でも人間界ではどうやってごみを捨てたらいいのかわからなくて…」
などとココロたんは言っていたが、氏はそんなことを聞いていたわけではない。
どうすればこれほどのメロンソーダを数日のうちに消費できるのかと不思議に思わずにはいられない。
氏が数日前にあげた一万円の大部分がメロンソーダに費されたのだろう。
きっとココロたんの体の70%はメロンソーダでできているに違いない。
少なくとも炭酸メロンナトリウムを主成分とする体液が
血液の代わりに体中を巡っているものと推測される。
とりあえずこれほどのメロンソーダを異常摂取されつづけると、
氏の給料では数日のうちの破産するおそれがあるため、
メロンソーダ管制を布く事にした。
「ココロたん、メロンソーダは1日1Lまでだよ!
最近の人間界の研究によると、メロンソーダ初摂取の低年齢化と胸の発育の停止には
因果関係があるらしいんだよ」
などとでまかせを言った。
「人類はまだ進化の途中ですね」
ココロたんはそう言った。
「お願いだからそれ以上メロンソーダを消費しないでください」
氏は素直に頭を下げることにした。
続く
参考文献
某有名な百科事典より。
http://ja.uncyclopedia.info/wiki/メロンソーダ